2021/09/20

細径レーザーと硬化療法のみで完結する下肢静脈瘤治療

著者
杉山悟
掲載誌
逓信医学 / 逓信医学協会 編 73 (3), 95-100, 2021-09
発行年
2021
要約

下肢静脈瘤の治療は,2019年に細径レーザーファイバーが登場し,側枝瘤の焼 灼が容易となったため,瘤の切除を行わずに細径レーザーと硬化療法のみで完結す る症例が増えている。広島通信病院で直近に行った5ヶ月間の症例の早期成績を報 告する。 2020年10月から2021年2月までに,細径レーザーで瘤の焼灼を行った症例は,44 例51肢で焼灼を行った部位は延べ161ヶ所であった。不十分な焼灼部位が認められ た例は,3例3か所で,98%の部位で焼灼部位の有効な閉鎖が認められた。術後一 週間では内出血,焼灼部の硬結はほぼ全例にみられ,術後1ヶ月でも硬結と色素沈 着は残存したが,皮膚熱傷はなく、神経損傷,深部静脈血栓症は認めなかった。 本法は,術後の硬結の触知,色素沈着などには留意する必要があるものの,大き な合併症はなく、閉塞率は良好である。術後の創処置が不要で整容性に優れてお り,概ね10mm以下の全ての静脈瘤に適応がある。とくに高齢者,C4b以上の症例, 抗血栓剤下の症例や,不全穿通枝などには極めて有効と考えられる。穿刺の方法に 習熟が必要なので,そのコツなどに言及する。 Key Word:下肢静脈瘤 血管内治療 レーザー治療 細径レーザー 硬化療法

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